VF−25メサイア(アルト機)

BANDAI 1/72

 半年以上の充電期間(?)を経て久々に製作開始です。今回はマクロスFから主役機のメサイアをいじることにしました。

 製作テーマは「ウレタンクリアを使ってみる」です。メサイアは皆さんご存じのとおりバンダイが満を持して発売した、各形態のプロポーション、紙一重で組み上がっていく変形機構などが究極レベルで結実した傑作キットですが、その分塗装剥がれの可能性は非常に高いと予想されます。

 そこで、ウレタンクリアの特性である強固な塗膜により、変形時のこすれによる 塗装剥がれが軽減できるか試してみようと思います。ただ、ウレタンクリアは身体を害する性質も強く(吸い込むと通常の塗料粉末に比べかなりやばいらしいです)、高価であり、作業時間が限られているなど欠点も多い素材ですので、ここを見て使ってみようかな〜という方は、このサイト以外で充分に情報収集した方がいいかと思います。また今時はクレオスのクリアVやガイアのEXクリアーなど塗膜の堅いクリアーも増えてますし、そっちでも充分代用可能なはずです。まあ今回は実験も兼ねて精密屋さんのものを使って、その使用感についてここでご報告していこうと思います。

 

1枚目です   5月18日
 
このキットは、ハセガワバルキリーシリーズに対抗してか非常に細かいディティールが刻まれており、自分オリジナルの追加ディティールを入れる必要は全くないような気がします。
よって今回は、抜きの関係で省略されていると思われるところに多少手を入れるぐらいになると思います。
写真はコクピット横の引けをラッカーパテで修復しているところ。
2枚目です    
主翼の付け根は後ハメ加工しましたが、正直あまりお勧めしません。どうしてもテンションが弱くなり、バトロイド形態で羽を広げてみたりするときにプラプラになると思います。素直に塗装してからパーティングライン消せば良かったな・・・
ホビージャパンの作例では、軸自体を後ハメ加工してましたね。裏から差し込むと以外に目立たなくていいらしいです。
3枚目です    
翼端灯は定番の透明化を施しました。コツはMGのメサイア特集記事で説明されてました。以下の手順のとおりです。
@パーツから透明にする部分を削り、接着面だけ綺麗に仕上げた透明ランナーを瞬着でがっちり(かつモールドに流れ込まないよう)接着
A慎重にデザインナイフで削る
B周囲のモールドを消さないようマスキングテープで保護し、最後はサンドペーパーできっちり仕上げる
4枚目です    
胸部中央の装甲板は、変形時のクリアランスが非常にきついので、下側を裏から削ってこすれないようにしています。
プラっぽさも軽減するので一石二鳥の作業です。
5枚目です    
胸部左右のインテイクはピンバイスで何カ所か穴を空けた後、カッターややすりで慎重に削り、開口。
裏からエバグリのモールド入りプラ板をはってます。
6枚目です    
バトロイド時にはシールドになる機体後方の装甲板は、接続が結構ゆるゆるなので、0.3ミリの洋白線でつなげてずれないようにしています。
穴を空けるスペースがほとんどないので慎重に。こういう所でミスすると復旧にえらく時間かかりますが、今回は一発勝負でなんとかうまくいきました。

7枚目です    
腕部の作業に入ります。
下腕にある合わせ目はうまくモールド処理されています。特に上腕との間接部に向かってくいっと曲がったラインが、ぴったりと合うのはさすがにバンダイ。
ただ、へっこんだ箇所まで真ん中に合わせ目があるのはいかにもプラモっぽいので、慎重に切り取り片方と接着して合わせ目を消してしまいました。
8枚目です    
脚部ですが、足首間接に関節技ボールジョイントの中サイズを使って自由度を上げてやりました。 みんなやってるこのキット一番の定番改造ですね。
注意点としては以下の2点。
@変形時に引き出す部分なので弱めのボールジョイントは使わないこと (関節技は非常に硬くて抜けにくいので使えるわけです)
A埋め込んだボールジョイントが、内部の出っ張りに引っかかり変形に支障がでるので、干渉する内部を削っておくこと。補強用のリブなのでまあ削っても大丈夫です。
9枚目です    
上記の加工でここまで足首が捻れるようになり、接地も決まるようになります。

続きは次回の更新で。ちなみに上記の作業を全部一日でやったわけではないです。1枚目の写真の日付から更新したときの日付までの日数がかかってます。
ものすごく言い遅れてますが、これはいままでの製作記録でも同じです^^;
10枚目です   5月23日
 
足首近くのマルイチモールドは、成形の関係で楕円形になってしまっていますので、くりぬいて裏から市販パーツをはめてます。これも定番の改修方法ですね。

キット発売から時間が経っていると、雑誌作例などで定番で簡単、かつ失敗も少ないいじり方が情報提供されますので便利ですね。
その分オリジナリティに欠ける作品になりますが(汗)
11枚目です    
機銃が装備されている腰横アーマーは、廃熱スリットをピンバイスとデザインナイフで開口しました。
バトロイド時にはパーツの裏側も多少見えますので丁寧に作業した方がいいでしょう。
機銃自体もピンバイスで穴を空けました。
12枚目です    
このキットには翼のロック機構が付いてませんので、ファイター形態で翼と胴体(バトロイド時の脚部)の接合がどうしても隙間が空いてしまいます。
そこで脚部に穴を、翼基部にプラ棒をつけて差し込むことで、かっちりと固定するようにしました。これは電撃ホビーの日野氏の作例でやっていたものです。
実はこれが自分的には最大のおすすめポイントでして、ここがロックされることにより、一番ずれやすく、またロック機構が仕組みにくい腰横アーマーを押さえてくれるのです。
簡単かつ効果が高い改修方法です。
13枚目です    
前述のロック機構により、機体上面もそれぞれのパーツの居場所がかっちりと決まってくる訳ですが、やはり可動するパーツ同士にかなりのずれ、段差が出てきます。
バンダイの設計段階ではぴったりとつながるようになっているのでしょうが、実際に組み上げるとそこは当然誤差が出てきてしまいます。
よって機体上面をなるべくツライチに仕上げることにチャレンジしてみます。
ロック機構がないと変形させるたびに各パーツの場所が微妙に変わってきてしまいますので、この作業は必ずロック機構完成後にやった方がいいでしょう。
14枚目です    
まずはそれぞれのパーツの隙間に、細切りにしたプラ板を差し込んでゼリー状瞬着で仮止めします。
パーツ同士に段差があるところもある程度プラ板で嵩上げしておきます。
次にパーツ毎にばらし、プラ板をガイドにしながらウェーブの黒い瞬間接着材を盛り、固まったら削っていきます。
パーツ同士が接する横面はここで仕上げますが、上面は盛ったままで固めておきます。
15枚目です    
横面が仕上がったパーツをファイター形態に組み上げて、今度は上面を仕上げます。
ディティールが入っているところもあるので、慎重に削っていきます。
このとき便利なのがクレオスのポリッシャーPRO。通常のペーパーがけのように反復作業しているうちに余計なところのモールドを消してしまうということがなく、狙ったところだけを綺麗に研磨できます。
16枚目です    
上面も大体ツライチになりました。
ちなみに黒い瞬着は今回初めて使ってみたのですが、アルテコを混ぜたものが既にチューブの中に入っているようなもので、掘削感や強度はアルテコと同じ感じです。
黒いのでパーツの状態が見やすく剥離することもないから使いやすいですね。多少硬度がなく角が削れやすいという欠点もありますが、それを差し引いてもかなりおすすめの一品です。
今後いっぱい使っていくとこになると思います。
17枚目です    
ファイター時の脚はかなり太めですが、アーマード装備などを考慮して実機でもそういう設定になっているとのことなので、多少ディティールアップした以外はそのまま使ってます。
軸はアルミパイプの2mm、探照灯は市販クリアパーツ、各所に市販金属パーツを埋め込み、デザインナイフ等でディティールを加え、油圧ラインを被覆コードで適当に作ってます。
18枚目です    
ガンポッドは、センサーが単なるモールドでクリアパーツじゃないのがちょっと残念だったので、クリアランナーから削り出したものをはめこんでみました。
翼端灯よりキラッと光らせたいので、整形後に一回取り外し、接着面を反射層にしたいと思います

以上でパーツ成型は終了。
次回からはようやく本題のウレタンクリアまでの塗装作業の模様をお伝えします。
19枚目です    
ちょっとおまけで脱線。

お台場の潮風公園にバンダイが実物大ガンダムを作っているというというのは、結構ご存じの方もいるとは思いますが、下半身まで出来たという噂を聞いたのでちょっと行ってみました。
20枚目です    
最初は遊園地にあるようなハリボテを想像して行ったのですが、これが全然違う!
各素材の違いが明確に分かる塗装やモールド、航空機的表現、それにバランスの良さも加わって、逆説的ですがまるで実物大の模型誌作例を見ているよう。
21枚目です    
制作費は秘密とのことですが、これはバンダイさん相当お金掛けてますねえ。
7月11には完成してお披露目される予定のようです。
期間限定の公開ですが、その後はイベントなどで各所で使われたりするとか。
一見の価値はあると思うので、機会があれば見に行ってみることをお勧めします^^
自分もまた行こうと思うので、そのときは全身像をアップしようと思います。

製作記録なのにブログみたいに使ってしまった^^;
22枚目です   6月5日
 
間が空きましたが続きです。
写真は基本塗装が終わったところ。普段の製作なら、このあとクリアでツヤを整えて完成するところですが、今回は変形時のこすれに強い(であろう)ウレタンクリアでの仕上げをやってみます。
23枚目です    
ウレタンクリアの特性その他使い方については、リンク先の「もみあげ牧場」さんの模型講座ですごくわかりやすく解説してあります。ウレタンクリア乾燥後のラッカーシンナー漬け込み実験など、実用的でかゆいところに手が届く内容が盛りだくさんです。
写真や精密屋のウレタンクリアと専用のフラットベース。併せて約3,500円。 決して安いものではありませんが、その効果には期待してます。
24枚目です    
ちなみに今回コンプレッサーを新調。エアテックスAPC-007「サイレントコンプレッサー」です。今までのグンゼL5が0.15Mpaのパワーだったのに比べ、今度のやつは0.7Mpa!フルパワーの風圧の体感はMGクラスなら軽くなぎ倒せるんじゃないかというぐらい(笑)。それでいて音はL5並みに静かで、規定エアまで上がったときにエア抜きする「プシュッ」という音さえ気にしなければ快適。
オイル使用だったり高価だったり大きくて重かったりで欠点もあるのですが、瓶サフやパールを吹くのにこのパワーは活躍しそうです。でもHPみたら廃盤だとか^^;不具合があっての改良とかだったらやですね。
しかしL5もいいもんです。メンテ一切無しで連続使用に耐え、10年以上不具合なしなんだから大したもんだ。
25枚目です    
ウレタンクリア:硬化剤:希釈剤:フラットベースを10:1:1:2の割合で混合して吹きます。コンプレッサーのエア圧は0.1Mpaまで下げるよう解説書に書いてますのでそのように。可動部にクリアがちゃんと乗るようブロック毎に分けてます。
なんせウレタンクリアなので、作業時間を出来るだけ短縮するため、脚付けなどの準備は事前にすっかり済ませました。
もちろん換気とマスク装着はいつも以上に気をつけて。
26枚目です    
吹き終わったらなるべくほこりのたたない部屋に移動させ、48時間はさわらずじっくりと待ちます。
ウレタンの硬化はエポパテと同じように化学変化。どんなに厚く塗っても硬化時間はかわりません。また、乾かないウチにうっかりクリア層をさわって指紋が残っても、溶剤の揮発で硬化するラッカークリアと違い、時間が経てばキレイに消えるそうです。
しっかり硬化した後にいよいよ組み上げ。この作業が一番楽しいですね。
27枚目です    
ウレタンクリアの厚みで変形に支障が出そうなところを削り込みつつ(翼基部裏側など)本組み。変形させてみます。
以上で簡単ですが製作記録は終了です。ウレタンクリアによりどれだけこすれに強くなったかはギャラリーの冒頭で感想を述べてますので、よろしければご覧下さい。

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